犬を上手くしつけるのに大切なこと。それは愛情を持って犬をしつけること。実際に深い愛情を持って犬をしつけた人の体験が元になっているこの連載。犬のしつけに悩んでいる人にぜひ読んで欲しい。
1. 声かけ
2. おやつ
3. マッサージ
4. その他
「どうしたものか・・」。あまりのやんちゃっぷりに頭を抱える私を救ってくれるのはいつだって、心理学の教科書とうちの犬。それは、私の顔めがけて高く高くジャンプして鼻の頭に絆創膏を唐驩H目に陥らせてくれた「あの子」。広げた新聞に元気よくダイブして、毎朝きまって私を苛立たせてくれた「あの子」・・。
心理学の教科書には、こうあります。「オペラント行動の出現頻度は、基本的に、その効果(後続する環境事象)による規定を受ける」。こんな呪文のような一文と、眺めているだけで睡魔に襲われるグラフだって、あの子にかかればあさめし前です。
「ほーっ、教科書に書いてあることは、本当なんだねぇ」。 ボールを握る私に、飛びつくことで「早く投げてよ!」と必死に訴えかけるあの子を目の前に私はだまって、すわるまで待ち続けます。すわったら、そのごほうびにボールを投げてあげようと、その瞬間を今か今かと待ちながら。繰り返すごとにすわるまでの時間は短くなり、よくすわるようになります。一瞬たりともじっとしていることのなかったあの子が目をキラキラ輝かせて、それはそれはうれしそうに。教科書に載っているグラフによく似た勾配を描きながら。
「飛びついちゃダメ」。やめさせることばかりに目を向けていたなら、できることや楽しみを、犬から奪うばかりになっていたでしょう。そして私はいつの日か、撫薰フ曇っていく犬を見つめながら「もういいや」と諦めてしまったに違いありません。でも私は、心理学の法則をたったひとつ知るだけで、犬から何も奪うことなく、むしろ生き生きとした撫薰vラスしてあげながら問題を解決していく術を知りました。
次から次へと引き起こされる由々しき事態も、今の私には、犬に何かをプラスしてあげられる大きなチャンス。楽しみにさえ感じられるのです。「さぁてこれはどうやって解決する?」。次回、こたつの上に上ることに困った私が、犬にプラスしてあげたことをご紹介したいと思います。(おわり)
引用文献:G.S. レイノルズ 浅野俊夫(訳) 1978 オペラント心理学入門 サ イエンス社