[犬愛しつけ法]クリッカーで簡単しつけ3

犬を上手くしつけるのに大切なこと。それは愛情を持って犬をしつけること。実際に深い愛情を持って犬をしつけた人の体験が元になっているこの連載。犬のしつけに悩んでいる人にぜひ読んで欲しい。

Q.あることをすると犬のストレスが減り、しつけにいい影響を及ぼすと言われていることがあります。それは何?

1. 声かけ
2. おやつ
3. マッサージ
4. その他

褒めるって難しい(3):芽吹き(第24号, 2006/6/21)

「もう枯れちゃったのか」。冬の間、そう思っていた草花たちが、春になり花を咲かせる・・。私はハッとします。何の成長もないように見える冬の時期、草花たちはちゃんと下へ下へと根を広げ、きれいな花を咲かせるそのときのためにちゃんと備えていたんだということに。

我が家にやってきた小さな天使は、世間が“問題行動”と呼ぶことのほとんどを、たった一匹で引き受けるタフガイ!次から次へと襲いかかる難問に押しつぶされてしまいそうだったあの頃、「キス」や「バック」「バーン」でひっくり返ること・・そんなことを教えて私はよく犬と遊んでいました。なんてのん気な!そんなことしてる場合じゃないのに!

しかし、いつまでたってもトイレでおしっこできなかったあの子の顔つきが変わったのです。それは「バック」ができるようになった頃。「何をすれば褒めてもらえるの?」。トイレの上で私の顔をじーっと見つめるその顔は、「バック」を練習しているときと同じ顔。あの頃からあの子は、私の心のうちを探るようなまっすぐなまなざしを向けるようになって、いつしかその顔は「遊んでいるときの顔」から「うちの子のいつもの顔」になりました。

おかまいなしにかぶりついては、私の腕や手をミミズバレだらけにして。そんなあの子が、ツンと鼻でつついて「こっち向いて!」と私に話しかけるようになったのは、「キス」ができるようになった頃。私は私でいつの間にか、鼻の感触を感じ取ると「なーに?」と返事することが当たり前になって、いつしかそれは「遊び」から私たちの「コミュニケーション」になりました。

山積の問題に埋もれてしまいそうだったあの長い長い“冬”の時期に、私たちは大地にどっしり根を下ろしました。雨が降っても嵐が来ても大丈夫。「どうしたらバックできるようになる?」と考えるときと同じ頭の回路を使って、「どうしたらトイレでおしっこするようになる?」と考えることが当たり前になりました。「どんなことも、小さな進歩をたくさん重ねてゴールまでたどり着くものなんだな」。いくつもの課題を犬と一緒に乗越えながら私はそれを知り、“問題行動”と呼ばれることにだって、犬のペースで歩んでいく必要があることを、当然のこととして受け止められるようになりました。

それは、私たちがきれいな花を咲かせ続けるために必要な時間だった・・そう思います。