犬を上手くしつけるのに大切なこと。それは愛情を持って犬をしつけること。実際に深い愛情を持って犬をしつけた人の体験が元になっているこの連載。犬のしつけに悩んでいる人にぜひ読んで欲しい。
1. 声かけ
2. おやつ
3. マッサージ
4. その他
「あぁアレね、ベルが鳴ったら犬がよだれを垂らすってやつ」
心理学を学んだことのない人でも知っている有名な実験に「パブロフの犬」があります。「ベルの音がする --> えさをもらう」この繰り返しによって、ベルの音がするだけで唾液を分泌するようになるというロシアの生理学者パブロフ博士が行った実験です。
しかし、私はその事実を随分長い間「食べるもの欲しさに!」なんていう目で見ていた。「単純」だなんて軽んじていた・・。
そりゃ私だって、教科書を読み、身近な出来事にあてはめることはできたさ!「冷蔵庫を開ける音がする --> おやつをもらう」この繰り返しによって冷蔵庫を開ける音に反応するようになったり、「ゴハン皿の音がする --> ゴハンをもらう」毎日それが繰り返されることで、お皿の音に反応するようになったり。
そうそう、アレもそうだよ。うちの犬は IH 調理器の加熱を止める「ピー」の音がすると「フミちゃん、ご飯できた?」ってお伺いを立てるように台所にひょっこり現れて私はいつも笑ってしまう。たしかに「ピー」っていうと食事の支度ができて、「テーブルの横でおすわりしてたらごほうびがもらえる時間」になることが多いからね。
うちの犬がさまざまな音に反応することは、今も昔も変わらない。ただひとつ変わったのは私の「犬を見る目」。冷蔵庫や「ピー」の音に反応するキミを「食べるもの欲しさに」だなんて今は決して思わない。それは生きていくために必要な学習迫ヘ。生きる力。
だって、食べ物があることを、それを目の前にするまで気がつかないんじゃ、過酷な自然の中で犬たちはどうして食べるものにありつけるだろう。危険な目に合う前に、その前ぶれを察知できなければ、どうして危険を避けることができるだろう。
私がそれに気づいたのはあのとき。そう、私もパブロフ博士のようにベルを鳴らして、キミの窮地を救ってあげたあのとき。(つづく)
参考文献:杉山尚子・島宗理・佐藤方哉・R.W.マロット・M.E.マロット(2000)行動分析学入門 産業図書
注)パブロフ博士の実験では「ベル」ではなく「メトロノーム」の音が使用されたとする文献もありますが、ここでは「ベル」と致しました。