[犬愛しつけ法]犬の誤飲を防ぐ法1

犬を上手くしつけるのに大切なこと。それは愛情を持って犬をしつけること。実際に深い愛情を持って犬をしつけた人の体験が元になっているこの連載。犬のしつけに悩んでいる人にぜひ読んで欲しい。

Q.あることをすると犬のストレスが減り、しつけにいい影響を及ぼすと言われていることがあります。それは何?

1. 声かけ
2. おやつ
3. マッサージ
4. その他

ガラスのカケラ(1):秘密の時間(第49号, 2007/3/1)

私は感無量でした。

台所で何か拾ったみたい。口をモグモグさせている犬に「それなーに?ちょっと見せて」と私が手を差し出すと、長い舌を器用に動かしながら、小指の先ほどの小さな物体をポトンと口から私の手のひらに落してくれました。

それは、ガラスの破片。「やだっ危ない・・ティーポットの口が欠けたんだ。よかった、出してくれて」。胸をなでおろした後、じんわりとうれしさがこみ上げてきました。「本当によかった。口から出すこと練習してきて」。

ちょっと興奮ぎみに今日の出来事を報告する私に、旦那さんは「この子は、いつでもちゃんと出すよ」。そんなに驚くことでもないさ、とでも言いたげにニヤッと笑ったけれど・・。「でもさ、子犬の頃には、ハブラシのヘッドを噛んで折って飲み込んで。うんちと一緒に出てくるまで本当に心配したよね」。そこまで言って、私はその後の言葉を胸にそっとしまいました。

「そんなに驚くことでもないさ」と思わせてしまうほど、それが当たり前になった今、「いったん口に入れたものを出すことは、犬にとって決して簡単なことじゃない」・・それは私がわかっていればそれでいい。

それに、その続きを口にすると、あのときの感動がシャボン玉みたいにフッと消えてしまいそうな気がしたよ。同じ目的に向かって、一緒に泣いたり笑ったりしながら過ごしてきた仲間同士にしかわからない気持ち、見えない絆ってあるでしょ?あの夜はキミのことをそんな大切な仲間みたいに感じ、今までの道のりを振り返り、お互いを称え合ってみたい気分だったんだ。

だってそれは、ゼロどころかマイナスからの出発だった。返してもらおうと近づく私に、顔をそむけて逃げ出したり、さっさと飲みこんじゃったり・・その道のりには、私にしか知らないキミの姿、そしてキミしか知らない私の姿がある。それは、一緒に歩んできた者にしかない秘密の時間。(つづく)