太陽の下(1)

犬を上手くしつけるのに大切なこと。それは愛情を持って犬をしつけること。実際に深い愛情を持って犬をしつけた人の体験が元になっているこの連載。犬のしつけに悩んでいる人にぜひ読んで欲しい。

Q.あることをすると犬のストレスが減り、しつけにいい影響を及ぼすと言われていることがあります。それは何?

1. 声かけ
2. おやつ
3. マッサージ
4. その他

太陽の下(1):愛すべき邪魔者(第52号, 2007/4/1)

私は「花より団子」なの。

ほら見て!ブルーベリー、ラズベリー、クランベリー、イチゴ、ミント、ルッコラ、バジル・・我が家の小さな庭に私が植えたのは、食べられるものばかり。

庭がにぎやかになるにつれて、私の悩みは膨らみます。だって、私のガーデニングを、次から次へと邪魔する輩(やから)が現れるんだもの。誰って?決まってるでしょ。うちの犬。ほら、ルッコラもバジルも、全部むしってツルンツルンにしちゃったし。花のうちに食べちゃうからイチゴなんか赤くなったの見たことないし。「フミちゃん、ャ撃ィもしろいの?それじゃボクも!」と、植えてる端から苗を引っこ抜いちゃうし。

私はバスマットを持ってきて、庭がよく見渡せる場所に敷きました。「マットを敷き、犬がすわったらごほうびをあげる」・・その繰り返しによって、マットを敷くことや指差すことが、「おすわり」「まて」のひと言に代わる「合図」になるんだと気づいたときから、我が家では「ここにいてね」と言いたい場所へマットを敷いてきたっけ。人間が食事をするときには、テーブルの下に。台所に入ってきて欲しくないときには、台所の入り口に。ピンポンが鳴ったら、「は~い!」とワンワン吠えながらひとり元気に玄関へ“お出迎え”しに行ってしまう前に、私はマットを指さします。

庭に敷いたマットですわっていてくれれば、ゆっくり庭仕事ができる。ごほうびがもらえて犬もうれしい。庭でだって、これでうまくいくはずだった。それなのに、私はちっともうれしくならなかったのです。

太陽の下、庭に敷いたマットの上でただすわってる犬の姿・・何かが違う。

自然と触れ合うことは、犬と一緒にできることのはずなのに、それを楽しんでいるのは私だけ。ありとあらゆるものに鼻を近づけていく好奇心あふれる後姿。小さな庭をところ狭しと走り回った後の満面の笑み。「もーっっ、やめてってば!」と言いたくなっちゃうくらいしつこくしつこく私を邪魔する無邪気なしぐさ。どれもみな、私が愛してやまないうちの犬の姿・・「この子に似合うのは、庭ですわってる姿じゃない」。

見つけてあげる。キミがもっとキミらしく、そして、私の悩みも解消できる方法を。(つづく)