犬を上手くしつけるのに大切なこと。それは愛情を持って犬をしつけること。実際に深い愛情を持って犬をしつけた人の体験が元になっているこの連載。犬のしつけに悩んでいる人にぜひ読んで欲しい。
1. 声かけ
2. おやつ
3. マッサージ
4. その他
不思議なんだ。
庭の植物をイタズラされるのがあんなにイヤだったのに、同じものを「キミのために」と植え替えたそのときから、それを“イタズラ”してくれるのがうれしくってたまらない・・。
私が買ってきたのは、小さな鉢。小さなうちの犬が葉をひっぱったり、花や実を探したりするのにちょうどいい高さの鉢。私はそこに、イタズラされて困っていた植物のいくつかを株分けしてあげました。
私が大事にしている背の高い鉢の周りにはグルッと「犬の鉢」。高い鉢しかなかったら、よじ登ってでもそこにあるものを取ろうとするでしょう。でも、代わりの鉢があることで、高い鉢にまで手を出す必要はなくなりました。
そして、私の目の前には、違う景色が広がるようになったのです。
ちぎったり、ひっぱったり、食べてみたり・・これまで散々同じ姿を目にしてきたはずなのに。安心して見ていられるようになっただけで、こんなに犬らしい生き生きした姿に見えるなんて。
「へーっ、こういうのがスキなの?それじゃキミの鉢にも植えてあげる」。買ってきたばかりの新しい苗に興味を示したとき、「お願いだからちょっかい出さないでね~」としか思えなかったのに。今じゃ“スキなもの探し”が楽しくてたまらない。
同じ鉢を犬と囲むとき、私たちがいかに違う動物なのかを実感するよ。目で見る私と、五感をめいいっぱい使う犬。その違いがときに大きな「溝」となり、わかり合えない原因にもなるけれど、同じ時間と空間をそれぞれ違う方法と感じ方で楽しめている・・そんな毎日だったらいいなと思う。
キミにはやっぱり、やわらかに降り注ぐ春の太陽の下、元気に走り回り、自然とたまわむれる姿がよく似合う・・。(おわり)