[犬愛しつけ法]怖がりな犬のしつけ術2

犬を上手くしつけるのに大切なこと。それは愛情を持って犬をしつけること。実際に深い愛情を持って犬をしつけた人の体験が元になっているこの連載。犬のしつけに悩んでいる人にぜひ読んで欲しい。

Q.あることをすると犬のストレスが減り、しつけにいい影響を及ぼすと言われていることがあります。それは何?

1. 声かけ
2. おやつ
3. マッサージ
4. その他

地球の仲間(2):はからずも(第71号, 2007/11/11)

それはうれしい誤算でした。

うちの犬はドライブが大嫌いでした。車に乗っているときのあの子といったら、心臓が破裂するんじゃないかと心配になるくらいの早い鼓動でブルブルと震え続け、「少しでも楽しくなるように」とおやつを差し出しても、まったく口にできない状態でした。

悲劇は続きます。引越しをきっかけに「車が必須」という生活が始まったのです。引越してきたばかりでまだ慣れない家に犬をひとり置いて行くことは、車に乗せるより残酷なことのようにあのときの私には思えて、嫌いなことだと知りつつも、車で一緒に出かけるようになりました。

あれから4年。今やあの子は、車のキーの音がすると「行こう行こう!」と散歩に出掛けるかのようにはしゃぎだし、運転席の私を助手席からいつもと変わらぬ笑顔で見上げ、遊び疲れた帰路には「あとはヨロシク」と言わんばかりにスヤスヤと寝入り・・。

乗っている車も同じ。ドライバーも同じ。何がカレを変えたのか。

それは、車に乗る「頻度」でした。引越し前は多くても週に1度、1ヶ月乗らないことさえ。そんな暮らしが子犬の頃から5年、一向に車に慣れることのなかったうちの犬が変わり始めました。車に乗ることが私たちの生活の一部に組み込まれ、その生活にすっかりなじんだ頃、ゴハンを食べたり、散歩に出かけることと同じくらい、それは自然で当たり前のことになったのです。

「頻度が増えて慣れたんだな。頻繁に人前で話すようになってからあがらなくなった、あのときの私と同じだな!」。

それは「車に慣れさせてあげよう」と思ってやったことではありませんでした。計らずも得たうれしい変化だったけれど、その変化が“たまたま”などではないことが私にはよくわかりました。だからそれ以来、私とあの子の周りでは「計らずも」ではないうれしい変化が次々と起こるようになったのです。(つづく)