犬を上手くしつけるのに大切なこと。それは愛情を持って犬をしつけること。実際に深い愛情を持って犬をしつけた人の体験が元になっているこの連載。犬のしつけに悩んでいる人にぜひ読んで欲しい。
1. 声かけ
2. おやつ
3. マッサージ
4. その他
「フミちゃんちってさ・・家まるごとバスターキューブみたいだよね!」。友人のひと言に私は大笑いでした。
ティッシュの空き箱がたくさん集まったから「遊べないかな」と取り出し口のビニールを外して並べてみたの。「どうするかな」って犬の様子を見ていたら、ほらやっぱり!すっ飛んで来て片っ端から箱に鼻をつっこみ始めたよ。
「うん!それなら・・」私は並び終えたその箱にポトンポトンとドックフードを。ある箱には1個、ある箱にはナシ、ある箱には5個。どう?「アタリ?ハズレ?大アタリ!」なんだかワクワクしない?
床に並んだ箱で犬が遊んでいる間にゆっくり食事・・友人がやってきたのは、そんな日々が続いていた頃のことでした。私たちが夕食を共にしているすぐ後ろで、今日も犬は箱と格闘中。その様子を眺めながら、ひらめいたように友人が言った「家まるごとバスターキューブ」に、「なんでわかったの?」と私はビックリしちゃった!
だって、食べることに困らない暮らしは、犬にとって十分な暮らしなのだとばかり思っていた私に、そうじゃないと気づかせてくれたのが、転がしているうちに中からフードが出てくる犬のおもちゃ、あのバスターキューブだった。たったひと粒のフードのために夢中でキューブを転がす犬の姿。ユラユラとご機嫌に揺れるしっぽ・・。
「なに不自由なく食べものが手に入る暮らしは、自分の力で食べものを探し出す楽しみが得られない暮らしなんだな」。台所やゴミ箱やテーブルの上から食べものを探してくるキミの楽しみを許してあげるわけにはいかないけれど、その代わり、バスターキューブみたいにキミをワクワクさせ続けるものでいっぱいの家にしてあげよう・・。
「犬って本当は、お皿でゴハンもらうわけじゃないもんね」。そんな友人のひと言がうれしくて、ついつい今夜はその先を語ってしまったよ。
「これって“由緒正しい”食事の仕方だと思わない?人間は席についてお箸で食べる。犬は匂いを嗅いだり押したりひっぱったり、頭と体をフルに使って食べる。こうしていると、私たちはそれぞれのやり方で、食事の時間を共にしてるんだなって思えてくるんだ」。(つづく)
※ 写真は厚手の布にドックフードをくるんで結んだもの。犬は前足と口を使って結び目をほどき、中のドックフードを手に入れます。