[犬愛しつけ法]ノーを言わないしつけ方1

犬を上手くしつけるのに大切なこと。それは愛情を持って犬をしつけること。実際に深い愛情を持って犬をしつけた人の体験が元になっているこの連載。犬のしつけに悩んでいる人にぜひ読んで欲しい。

Q.あることをすると犬のストレスが減り、しつけにいい影響を及ぼすと言われていることがあります。それは何?

1. 声かけ
2. おやつ
3. マッサージ
4. その他

いつも心にクリッカーを(1):ヤツが来る! (第88号, 2008/5/1)

ヤツは来る。きっと来る。来て欲しくないときに限ってヤツは必ずやって来る!

どうも掃除機の調子が悪いと思ったら、ゴミが“満タン”もいいところ。「誰?吸い込まなくなるまでほっといたのは!」・・あ、私か。床にしゃがみこみ、詰まりに詰まったそのゴミを必死にゴミ袋にかき出す。左手には掃除機。右手にはブラシ。一心腐乱に。

「フミちゃ~ん!何してるの?」。あぁ、やっぱりうちの犬がやって来た!しかもヤツは、決してこれだけじゃ終わらない。必ず「参加」するんだ。

「ボクも!」・・ブラシをかじる!ゴミ袋に頭を突っ込む!ゴミ袋をたなびかせながら部屋中を走り回る!鼻の頭に綿ぼこりをくっつけて。掃除機からやっとかき出したゴミを、再び部屋中に撒き散らしながら。

「ただでさえ掃除機が調子悪くてイライラしてるっていうのに!」。さすがに今日は私も“お冠”。「いい加減にしなさいっ!!」ガツンと一発・・・いやいや、こんなときは大きく深呼吸。そしてあの呪文を唱えるんだ・・

「もしここにクリッカーがあったなら・・」

いつもクリッカーを持つその左手を軽く握り、そして静かに目を閉じる・・。頭の中に広がるのは、数え切れないくらいの課題を教え遊んできた日々。あの子の姿。私の姿。私はいつだってこの左手でクリッカーを鳴らし「イイコだね」「それでいいよ」とあの子にほめのサインを送り続けてきた。

トレーニングの最中にどこかへ行ってしまったとき、私はどうしただろうか。
運んできて欲しかったボールをかじり始めてしまったとき、私はどうしただろうか。

「やめなさい」なんて言わなくても、あの子はちゃんとイイ行動を身につけてきたじゃない?いや、それを言わなかったからこそ、「こうすればいいんだよね!」とのびのび学習してこれたんじゃない?

そっと目を開けると希望が、勇気がわいてきた!左手に掃除機。右手にブラシ。え?それじゃクリッカーが握れない?大丈夫。クリッカーはいつでもココにある。そう、私の心の中に。よ~し、始めるよ。「ほめてあげられるところまるでゼロ」から始めるほめるだけのコミュニケーション。かわいいかわいい私の「ヤツ」との愛しい時間。(つづく)

※ クリッカーとは? >> FUN!FUN!クリッカー