クオリティ・オブ・ライフ(2)

犬を上手くしつけるのに大切なこと。それは愛情を持って犬をしつけること。実際に深い愛情を持って犬をしつけた人の体験が元になっているこの連載。犬のしつけに悩んでいる人にぜひ読んで欲しい。

Q.あることをすると犬のストレスが減り、しつけにいい影響を及ぼすと言われていることがあります。それは何?

1. 声かけ
2. おやつ
3. マッサージ
4. その他

クオリティ・オブ・ライフ(2):ちょこっと。 (第112号, 2009/5/24)

・・そうなの。お散歩デビュー、わりと遅かったの。ウチの犬は、我が家にやってきたときケンネルコフを患っていて、ワクチン接種が終わったときには、生後4ヶ月をゆうに過ぎてたってわけ。

定期的に病院へ行き、薬を飲ませ、「元気になりますように」と過ごした最初の1ヶ月。その一方で、楽しみにしてたんだよな。「はじめてのお散歩で、この子はどんな顔を見せてくれるのかな」って。でもね、時間が経つにつれ、期待より不安の方が大きくなっていっちゃったんだ。だって・・

「社会化が足りないと、よく吠えるようになる」

そんな情報を目にしたんだもの。「早く散歩させないとダメなんだ」って焦って焦って、お散歩解禁までのその1ヶ月ときたら、まるでスタートをきる前につまづいちゃったみたいな気分。だからだと思う。散歩に行けるようになってからも、1日1回じゃ足りないような気がしたんだ。

「1回でも多く!」

ゴミ捨てのついでに。新聞を取って来るついでに。回覧板を持って行くついでに。何かにつけてあの子を連れ出したっけ。外の空気を。外の匂いを。外の音を。歩かせることができないときには、だっこしてでも。

それだけでもいろんなことが起こるものなんだよなぁ。誰かとすれ違う。会話を交わす。猫が横切る。鳥が飛び立つ。そして犬の・・いや、私の「シャカイカ」は進んでいく! 「猫や鳥が動いたとき、飛び出さないようにしないと危ないなぁ」「“かわいいね”って誰かが手を差し延べてくれたとき犬が拒まなくてもすむように、体をなでられることに慣らしてあげたいなぁ」「世の中には犬の嫌いな人もいるから、ハウスでも楽しく過ごせるようにしておくとよさそうだぞ、うんうん・・」。

モンスターみたいに私たちの前に立ちはだかっていた「イヌノシャカイカ」。ちょっとでも油断しようものなら、私たちを取って食べちゃう怖い相手だと決めてかかってた。でもね、それはもっと「ちょこっと」したものだったみたい。

・・え? それで「社会化不足」は無事解消できたのかって? うん、大丈夫。あんなに焦る必要なかったんだなって今は思うよ。でもね、これだけじゃ終わらない! それから何年も経って、私は意外な事実に直面することになるんだなぁ。(つづく)