[犬愛しつけ法]犬がイイコに育つおもちゃ3

犬を上手くしつけるのに大切なこと。それは愛情を持って犬をしつけること。実際に深い愛情を持って犬をしつけた人の体験が元になっているこの連載。犬のしつけに悩んでいる人にぜひ読んで欲しい。

Q.あることをすると犬のストレスが減り、しつけにいい影響を及ぼすと言われていることがあります。それは何?

1. 声かけ
2. おやつ
3. マッサージ
4. その他

手作りおもちゃで犬と話そう(3):打ち破れ!(第117号, 2009/8/6)

発見!

物置から出てきたのは、日本酒のビンが入っていたと思われる空き箱。「さすがに厚手で頑丈、それに大きいなぁ」。むくむくと湧き上がってきたのは私の『手作りおもちゃ魂』。その箱にドックフードを1粒入れ「そ~れ!」と勢いよく投げてみた。

しかし、犬の様子が違うのです。いつものように空き箱に食らいついてみたものの、あっさり諦めて戻ってきちゃった。さすがに開けにくかったらしい。さて次はどうするか。薄手の破きやすい箱に取り替えるか、はたまた中身を変えてみるか。

私が選んだのは後者でした。当時、私には悩み事があったのです。引越しをきっかけに、犬が散歩を楽しめなくなってしまった。強い風。車の音。散歩に出かけてもしっぽを下げすぐにすわりこんでしまう。

「この子は私とこの地で生きていかなきゃいけないんだ。過去を振り返るのはもうやめて、今何をすべきか考えよう」そう思う一方で、常に私はさいなまれていました。「引越しさえしなければ、こんな辛い思いを犬にさせずにすんだのに」。だから私は、この空き箱で自分を変えてみたかったのです。

「もしも“この箱を破く”ということが、“外を歩く”ことと同じくらい“できなくてはいけないこと”だったとしたら?」。私は賭けたのです。この箱を破るように犬を導けたなら、私はきっとこの子と打ち破れる! 新しい街でのびのびと散歩できるようになるという「厚い壁」も。

「開けてごらん」。私があらためて箱に詰めたのは大好きなジャーキー。すると今度は様子が違います。根気よくちぎって破いてひっかいて、ボロボロに分解された箱からついにジャーキーがポロリ。

「よくがんばったね!」

犬には「困難」を打ち破るパワーがあるんだな。「困難」を上回る大きな「喜び」が、犬にそのパワーを授けてくれるんだな。

箱を何重にも重ねてみたり、セロテープでとめてみたり。私がわざとおもちゃを難しくするのがスキなのは、きっとキミにこう言いたいからだと思うんだよなぁ・・「よくがんばったね!」。そしてそのたびに、心に刻んでるんだと思う。この子にはたしかに困難を打ち破る力があるんだって。さて、今年の夏はキミに何回「がんばったね」って言ってあげられるかな。たくさんたくさん言ってあげたいから、ほら見て!ポケットにはいつでもキミのスキなものを忍ばせてあるよ。(おわり)