子犬のトイレのしつけ(3)

犬を飼い始めた人が「これだけはできなきゃ困る!」と思うのがトイレのしつけだろう。しかしその一方で、犬がどのようにトイレを認識し、どうしたらトイレを覚えるのかということについての情報はあまりにも乏しい。そこでここにご紹介しよう。心理学を元にした犬のトイレトレーニング法である。

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Q.犬のトイレのしつけ、うまくいくポイントは?

1. 叱り方
2. ゴハンの量
3. おやつのあげ方
4. その他

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トイレのしつけの目標

さあ、トイレのしつけを始めましょう!ここでご紹介をするしつけによって、あなたの犬はこんなことができるようになります!

「おしっこ・うんちがしたいな、と思ったときに、自分でトイレに行って排泄する」

それでは、その方法を順に解説しましょう。

トイレのしつけの方法

手順はいたって簡単です!

「トイレでおしっこやうんちをしたらご褒美をあげる」

これだけです。

ん?誉めてあげたいけれど、トイレでおしっこ・うんちしてくれないからトイレのしつけが必要なのでは?と思うでしょう?当然、待っているだけでは、トイレで排泄してくれません。こんなときに、ご褒美をあげるのだと考えてください。

- もちろん!自分でトイレに行って排泄したとき
- 人間が誘ったり、連れていった結果、トイレで排泄したとき

どんな経緯を経たにせよ、結果的に「トイレでおしっこうんちした」ときには、ご褒美をあげればいいのです!最初から、自分でトイレまで行って排泄してくれないなら、連れていってトイレで排泄させ、ご褒美をあげればいいのですね。ご褒美をあげ、犬を誉めてあげるチャンを、人間が作ってあげる、というのがこのしつけのポイントです。

トイレで排泄をした後に誉めてもらえる経験を繰り返し、どこで排泄したら誉めてもらえるのかを理解していきます。そして、最終的には、尿意・便意を感じたときに、自分でトイレまで行って排泄できるようになるのです。

それでは、どうしたら、「トイレでおしっこ・うんちさせ、誉めるチャンス」を作ってあげられるのでしょうか?そのための工夫をご紹介しましょう。

いつおしっこ・うんちするのかな?

トイレのしつけ開始時点において、日に何回かはトイレで排泄することがある犬は、そのときを逃さずに誉めてあげましょう。

しかしそうではない場合には、「トイレで排泄」を誉めてあげようにも、ただ待っているだけでは、トイレで排泄してくれませんね。そこで、

「排泄しそうなタイミングでトイレに連れていく」

ということが大切です!

それでは、その「排泄しそうなタイミング」は、どうすればわかるのでしょうか?

排泄の記録をつけてみましたね。その記録を眺めてみてください。あなたの犬は、毎日何回くらいおしっこ・うんちをしているでしょうか?健康な状態であれば、おとといのおしっこは3回だったのに、昨日は15回。今日は1回もおしっこしなかった・・なんていうことはなく、同じくらいの回数で定期的に発生します。

そして、こんな風に記録を眺めてみると、規則性が見つけやすいでしょう。

1. おしっこ・うんちの時間間隔を見てみましょう。たとえば、1日3回うんちする犬の場合、午前中に3回、それ以降は全くしなかった、というようなことはあまりなく、午前中、午後、夜1回ずつ、というように、ある一定の時間間隔があるものです。何時間間隔くらいで排泄しているのか、おしっこ・うんちごとに見てみましょう。

2. 食餌や水分摂取と、おしっこ・うんちの関係を見つけてみましょう。食餌をしたり、水分を摂取した後、どのくらいの時間をあけて排泄をしているでしょうか?それがわかれば、その時間にトイレに連れていってあげることができます。食べたり、飲んだりするとすぐに排泄したり、食べている最中に排泄する子犬もいます。トイレの近くで食餌をさせ、いざというときにすぐにトイレに連れていってあげられるようにしてもいいですね。「もうそろそろおしっこしても良さそうなのにしないな・・」というときには逆に、ミルクを飲ませてトイレに連れていくことで、おしっこしてくれるかもしれませんね。

3. 寝起きに気をつけてあげましょう。寝起きに排泄する傾向はないでしょうか?もしそうであれば、寝起きには必ずトイレに連れていってあげるといいでしょう。

4. 遊びなど体を動かしているとき、またはその後に排泄する傾向はないでしょうか?体を動かすことが排便を促すことがあります。こういう傾向が見られるときには、トイレから離れた場所で遊ぶのをやめ、犬をよく観察しうんちのかまえを見せたら、すかさずトイレにのせてあげるといいでしょう。

最終目標は、「おしっこ・うんちがしたいと思ったときに、自分でトイレに行って排泄すること」でしたね。トイレに連れていって排泄したのでは、最終目標とは違う! と思われるかもしれません。それでも誉めてあげていいのです。たとえ、失敗寸前の状態で抱き上げ、トイレに慌てて乗せたようなときにも、あたかも犬が自分でトイレに行ったかのような気持ちで「よくできたね!」と心から誉め、ご褒美をあげてください。そういう過程を経て、「どうすれば誉めてもらえるのかわかったよ!」と自分でトイレに行くようになっていきます。

トイレに連れて行こう!

今にもおしっこ・うんちしそうなときには、とにかく早く抱き上げてトイレに連れていってあげなければなりません。しかし、余裕があるときには、犬にトイレまで歩いていくように仕向けるといいでしょう。

ご褒美を持ち、犬の鼻のところへ持っていきます。そのご褒美をトイレの方向へ移動させると、犬も一緒にトイレの方向へ歩き出しませんか?トイレの上まで乗ったら、ご褒美を口に入れてあげてください。これは、上手にトイレまで歩いて行けたことに対するご褒美です。

この方法に慣れたら、何処にいても、いざというときにはトイレまで自分の足で歩いていけるように、トイレまで誘導する距離を伸ばしていくといいですね。

ご褒美の与え方

トイレでおしっこ・うんちをしたら、その直後にご褒美をあげ、うーんと楽しい気分にしてあげてください。犬に「よくできたね!」の気持ちを確実に伝えるためのご褒美のあげ方には、2つのポイントがあります。

タイミング

ご褒美は、トイレで排泄をした直後にあげましょう。犬は、ご褒美をもらった直前の行動を学習します。「トイレで排泄」を学習して欲しかったら、「トイレで排泄」のすぐ後に、ご褒美をあげる必要があります。

ご褒美の選び方

”ご褒美”の本当の意味は、「犬に喜んでもらうこと」です。食べる物に限らず、犬が喜ぶことやものなら、何でもご褒美になります。ご褒美は、犬が喜んでくれて初めてご褒美になる、ということをどうぞ忘れないでください!人間がご褒美として与えているものの、犬が大して喜んでおらず、ただ与えられているものを食べているだけになっているとしたら、それはご褒美としては機狽オていないことになります。ぜひ、あなたの犬がしっぽをふりふり、大喜びしてくれるような、大好きなものを見つけてみてください!

食べ物

大抵の犬は、食べるもの好きです。食餌として与えているもので助ェ喜ぶのなら、一部を取り分けておき、ご褒美にしてもいいでしょう。犬用のおやつを準備してもかまいません。与える量は、ドックフードなら一粒。おやつなら、小指の先ほどの大きさに切っておき、ひとかけらあげましょう。

おもちゃ

犬は遊ぶことが大好きですね。ボールやぬいぐるみなど、好きなおもちゃで暫く遊んであげることを”ご褒美”にすることができます。1分ほど遊んだら、他の好きなものと交換して取り上げましょう。犬が飽きてしまう前にとりあげてしまうことで、次への意欲につながります。また、トイレのしつけのご褒美として使うおもちゃは、いつも与えっぱなしにしておくのではなく、排泄の後でだけ遊べる特別大好きなおもちゃとして、普段は見えないところにしまっておきましょう。

ガム

犬用ガムや、豚の耳、牛のひずめ、馬のアキレス腱など、噛むおもちゃをご褒美にすることもできます。1分ほど与えたら、他の好きなものと交換して取り上げましょう。犬が飽きてしまう前にとりあげてしまうことで、次への意欲につながります。また、トイレのしつけのご褒美として使うガムは、いつも与えっぱなしにしておくのではなく、排泄の後でだけ与えられる特別大好きなものとして、普段は見えないところにしまっておきましょう。

イベント

サークルの扉を締め切って、排泄するまで待って上げている場合には、排泄が済むと同時に、大げさに「いい子だね」と声をかけ、扉を開放し、サークルの外へ誘ってあげることもご褒美になります。

サークルから出ること、散歩に出発すること、ごはんを食べること・・、犬が喜ぶ瞬間や出来事は、ご褒美になります。このようなイベントの前にトイレのしつけを設定してもいいでしょう。

※ これらはみな、ご褒美になりえます。ただし、どれを使えばいいのかしら・・ともし迷うのなら「食べる物」のご褒美を使うことをお勧めします。大抵の犬が、食べる物が好きです。一方、おもちゃや、ガムのようなものは、「遊びたい気分のとき」「噛みたい気分のとき」にこそ与えてご褒美として生きてくるため、いつでも同じように犬が喜んでくれるとは限りません。トイレの傍らに1回分ずつの食べる物のご褒美を準備しておき、排泄し終わったと同時に口に入れてあげる・・・これが、確実に効果のあがるご褒美の与え方です。

※ おもちゃやガムなどをご褒美として与えた場合には、以下のようにして取り上げるといいでしょう。無理やり取り上げると、取られまいとして逃げ回ったり、噛み付いたり、唸ったり、思わぬことを学習してしまうかもしれません。
1. 好きな食べ物を用意します。
2. 正面からではなく、斜め前から低い体勢で静かに犬に近づきます。
3. 好きな食べ物を差し出します。
4. おもちゃやガムから離れるように、食べるものを犬の鼻先につけながら、自分の方に引き寄せます。
5. 食べるものを与え、その間にそーっとおもちゃやガムを取り上げ隠します。

チェック!順調かな?

トイレのしつけを始めて、何回かご褒美をあげることに成功したら、あなたの「誉めてあげたい」の気持ちが犬に伝わっているかどうかチェックしてみましょう。以下のうち、ひとつでも該当するものがあるでしょうか?

1. 人間を意識しながら排泄します!

おしっこするよ、とあなたのことをちらちらみながらトイレに行ったり、排泄中もあなたのことを気にしたりしていないでしょうか?

2. 排泄の後、ご褒美ちょうだい!と催促します

排泄し終わった後、ご褒美を探す素振りを見せたり、あなたのところへ駆け寄ったりしないでしょうか?

3. ちびちび排泄したりします

あなたのことを見ながら、何回もトイレに行って、ちびちびおしっこしたりするようなことはありませんか?

これらの行動は、あなたの「誉めてあげたい」の気持ちに応えて、誉めてもらおうと一生懸命になっている証拠です!トイレのしつけはとても順調だといえます。

これらの様子が見えないときにはどうすればいいのでしょうか?

1. ご褒美はタイミングよくあげられていますか?

ご褒美は、排泄した直後にあげられているでしょうか?排泄したことを誉めてあげるには、この直後にご褒美をあげなければなりません!

2. ご褒美を喜んでいますか?

ご褒美をあげた後の犬の反応をよく観察してみましょう。あなたの犬はご褒美をもらって助ェ喜んでいるでしょうか?食べる物を与えているのなら、「もっと頂戴」という素振りを見せるくらいのものであると効果的です。より好きなご褒美を探してみてもいいでしょう。

3. 他にも何かしつけをしていますか?

もし、トイレ以外のしつけ(おすわりを教えたり、クリッカーを使ったしつけなど)でご褒美を犬に与えているなら、トイレのしつけが軌道に乗るまでの間控えてみましょう。犬はどうすれば大好きなご褒美が手に入るのかな、と考え動きます。その結果、ご褒美を手に入れることができた行動を学習していくのです。トイレでおしっこ・うんちしたときにのみご褒美が手に入るような状態を作り出すことによって、”トイレの学習”がより効果的に行われるようになります。

失敗したときには?

失敗してしまったら、知らん顔して片付けましょう。ペットショップなどで売られている消臭剤を使って、匂いも取りましょう。

失敗の後始末をするときには、かがんで、ティッシュや雑巾を動かしますね。その動作を、遊びと勘違いしてしまうことがあります。片付けているあなたの腕にはしゃいで絡んでくるようなことがあれば、それは、トイレ以外の場所でおしっこやうんちをしたことに対して、「遊び」というご褒美を与えたのと同じ状態になってしまいます。このような場合には、犬が見ていないところで片付けるようにしましょう。

叱る必要はないのでしょうか?答えは「ありません」です。叱っても「次からどこでおしっこすればいいのか?」ということを犬に理解させることはできません。それどころか、おしっこやうんちをしたこと自体を叱られたのかと勘違いし、隠れて排泄するようになるかもしれません。

そしてもうひとつ叱ってはいけない理由があります。犬は、飼い主さんの注目を集めることが大好きです。例え叱っているつもりでも、それが犬にとって「人間の注目」というご褒美になっていることがあるのです。自分がおしっこを失敗すると、それまで見向きもしてくれなかった飼い主さんが自分のところへ飛んできてくれる!と学習するのです。

叱るといかにも垂オ訳なさそうにする犬がいて、反省してくれそうに見えますが、これは、失敗したことを垂オ訳なく思っているわけではなく、ご主人さまが怖い顔をしてブツブツ言いながら雑巾で床を拭いている・・という状況が、自分にとって都合が悪そうだ・・と学習しただけなのです。犬のトイレは「ここでおしっこ・うんちしてね」と人間が勝手に決めて犬にお願いしているものです。どうぞ最初からわからなくて当然だ・・という気持ちで取り組んでください。

よく目にする失敗時の対処

みなさんがよく目にする方法に「失敗したところに鼻を押し付けて叱る」というのがあります。

これは絶対にやってはいけません。この方法ではトイレを覚えることができないどころか、ちょっと困ったことになります。

想像してみてください。あなたは今、言葉の全く通じない外国で、外国人に囲まれて食事をしています。あなたが一口食べ物を口に入れた途端、一緒に食事をしていた人が、突然あなたの首根っこを掴み、お皿に顔を無理やり押し付け、なにやらガミガミ言い出しました。さて、あなたはどんな気持ちでしょうか?何がいけなかったのか理解できるでしょうか?どうすれば怒られずに食事をすることができるのかわかるでしょうか?

通じない言葉でガミガミ言われても、何がいけないのか、どうすればいいのかは決してわかりませんね。しかも、首根っこを掴まれてお皿に顔を押し付けられたのです。恐ろしくて、こんな思いをするならもう食べなくてもいい・・と思ってしまうかもしれませんね。ひとりになった瞬間を見計らって、こそっと食べる・・なんてこともありえるかもしれません。

犬にも全く同じことが言えます。おしっこを失敗してしまった後で、鼻を押し付けて叱られても、ただ怖い思いをするだけで、次からどうすればいいのかは全くわからないのです。それどころか、叱られないためにおしっこを我慢する、飼い主さんの見えないところでだけおしっこをする、というちょっと困ったことになってしまいます。

このしつけでは、排泄をした後にご褒美をあげるのでしたね。ということは、飼い主さんが見ていると怖くて排泄できない!というのではご褒美はあげられないのです。叱ると、しつけは遠回りなってしまいます。

特定の場所での失敗が繰り返されているときには?

こんなことに気をつけてみてください。

1. トイレが汚れていませんか?

犬は、汚れている場所で排泄したがりません。排泄物はすぐに片付けて、トイレをきれいな状態にしてあげてください。

2. 失敗する場所

失敗する場所が決まっている場合には、物を置いて、物理的に排泄できない状態にしたり、マットのように取り除くことができるものの場合には、トイレを完全に覚えてしまうまで取り除き、失敗をを防ぎましょう。特定の部屋での失敗が繰り返される場合には、トイレを完全に覚えてしまうまでその部屋へ出入りさせないような工夫もできます。

3. 健康であること・・

そして何より大切なことは、犬が健康であることです。トイレで排泄することを妨げるような病気にかかっていないか獣医さんと相談しながら気を配ってあげることも大切です。健康であることは、犬のしつけの第一歩ですね。