犬を上手くしつけるのに大切なこと。それは愛情を持って犬をしつけること。実際に深い愛情を持って犬をしつけた人の体験が元になっているこの連載。犬のしつけに悩んでいる人にぜひ読んで欲しい。
1. 声かけ
2. おやつ
3. マッサージ
4. その他
「足して2で割るとちょうどいいのにねぇ・・」
うちの犬には、メス犬の“カノジョ”がいます。彼らは体格も性格も対照的。うちの子の体重が4キロなら、カノジョは18キロ。
一緒に散歩に出掛けたって、犬を見るなり「遊ぼーっ!」と突進していくのがうちの子。そのあまりのはしゃぎっぷりに、8歳になった今でさえ「子犬ですか?」と聞かれて赤面するのが私。その後ろで「アタシは犬が苦手なの・・」と固まっているのがカノジョ。いくら隠れたって、その大きな体は人間からはみだしちゃうのに・・。
そんなカノジョに「怖いものがいっぱいで気の毒だなぁ」と心を痛めているのがカノジョの飼い主さん。
2匹が対照的なら、私たちの悩み事も対照的。だから、とめどないおしゃべりの合間、お客さまをもてなす使命感にひとり燃えているかのように動き回るうちの犬と、“母”のような風格を漂わせながらドッシリと腰を落ち着けるやそのまま動かなくなるカノジョを眺めては、「足して2で割ると・・」とため息まじりに笑ってしまう。
でも、その言葉には不思議と幸福な後味が残るのです。だって、できるはずのないその言葉を口した瞬間、私たちは「本当に足して2で割っちゃったら、この子じゃなくなっちゃう!」ということを強く強く意識して、「これが、うちの子なんだ」という気持ちでいっぱいになるから。私たちを悩ませているちょっと困ったことだって、全部まとめて引き受けてあげたい気持ちでいっぱいになるから。
そんなカノジョたちを初めて我が家に招いたとき、私はひとつのお願いをしましました。怖がりなカノジョのために。うちの犬のために。彼らが仲良くなれるように。(つづく)